第2話 鮮烈なるデビュー戦

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 中央での初出走は『百日草(500万下)特別』に決定した……。  11月の冷たい風が肌を突き刺す。  白い息があがる。  ホワイトノースの中央でのデビュー戦。  ホワイトノースの陣営は初陣レースに『百日草特別』を選んだ。  東京競馬場で行われる、芝1800メートル、2歳、定量、500万下で行われるレースである。  百合はスタッフ一同を一箇所に集め、初陣に対しての講義をしている。 「ついに初陣の日が来ました。私は祖父の意志を引き継ぎ馬主になりました。そう簡単に勝たせてもらえるとは思っていません。私は見物することしか出来ませんが、皆さんと共に力を合わせて戦いたいと思っています」  皆は百合の言葉を傾聴している──。  一方その頃、宮野牧場の牧場主、宮野直正90歳は、北海道のとある病院の病床に臥(ふ)していた。  直正はベッドに寝ながらテレビをみている。 「アローの仔は……今日デビューなのか……」 「ええそうですよアナタ。アローの仔がついに中央デビューするのです」  直正の妻、蔵乃は、そういった。
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