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「そうか……そうなのか。でもあの子は芝に向いているのだろうか?」
直正は既にボケていた。
今年で91歳になる直正は、ボケていてもなんら不思議は無い。
むしろ元気にはしゃぎまわっている方が、不思議である。
「アローもきっとあの世で、喜んでおるじゃろうな」
「ええきっと大喜びしますよ」
「少しまぶしいな…」
直正がそういうと、蔵乃は立ち上がり、部屋のカーテンを閉める。
そして再びベッドの横にある椅子に腰を降ろす……。
8頭だてで行われるこのレース。
ホワイトノースは4枠4番。
パドックでは、既に騎手たちが自分の馬にまたがり、地下馬道を通り本馬場に入場してく。
白い馬にまたがっている、ひとりの女性騎手がいる、この女性騎手の名を大友真紀という。
そして、ひときわ目立つこの白い馬を、ホワイトノースという。
真紀は4枠の青いヘルメットをかぶっている。
そして勝負服は『白』。
地下馬道を8頭の馬たちが歩いている。
その中でも白い馬体の馬は、どの馬よりも目立っている。
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