第2話 鮮烈なるデビュー戦

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 「そうか……そうなのか。でもあの子は芝に向いているのだろうか?」  直正は既にボケていた。  今年で91歳になる直正は、ボケていてもなんら不思議は無い。  むしろ元気にはしゃぎまわっている方が、不思議である。 「アローもきっとあの世で、喜んでおるじゃろうな」 「ええきっと大喜びしますよ」 「少しまぶしいな…」  直正がそういうと、蔵乃は立ち上がり、部屋のカーテンを閉める。  そして再びベッドの横にある椅子に腰を降ろす……。  8頭だてで行われるこのレース。  ホワイトノースは4枠4番。  パドックでは、既に騎手たちが自分の馬にまたがり、地下馬道を通り本馬場に入場してく。  白い馬にまたがっている、ひとりの女性騎手がいる、この女性騎手の名を大友真紀という。  そして、ひときわ目立つこの白い馬を、ホワイトノースという。  真紀は4枠の青いヘルメットをかぶっている。  そして勝負服は『白』。  地下馬道を8頭の馬たちが歩いている。  その中でも白い馬体の馬は、どの馬よりも目立っている。
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