96人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・なるほど。しかしあやふやなまま斬り捨てる、というのはあまりいいことではない」
息をついて、彼は提案した。
「どうでしょう副長、このままこの娘をここで隔離‥外からの交流を遮断すれば何の問題もないかと」
その案に、一同が目をむいた。
「斎藤…?お前にしては珍しいことを言うもんだな」
「別に。ただ、こいつの目から敵意も殺気も感じられなかった」
人は目を見れば大概どんな人間か分かるものだ。
そう言って居住まいを正して、改めて副長という人に向き直った。
先ほどの黒髪の人だ。
「まぁ、斎藤が言うにはそれなりのことなんだろうがな…」
眉間の皺を戻すことなく、深く考えているようだった。
「本気で言ってんですか土方さん」
「黙ってろ。考え中だ」
沖田さんの意見をさらりと流し、しばらく考えたらしい彼は、決めたように顔をあげた。
最初のコメントを投稿しよう!