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朝日がまぶしい初夏だった。
「早くしないと遅れるよ?」
「わかってます!!」
慌ただしく玄関を飛び出す。
一息つく間もなく、浴びせられる冷たい言葉。
「はい、3秒アウト」
「そ、それくらいいいじゃないですか!」
私を一瞥して、目の前の彼はため息をついた。
「おはよう、みずきちゃん」
微笑みながらそっと手を貸してくれる。
「あ、ありがとうございます…」
大好きな、憧れの先輩。
大切な恋人…。
「そういえば、今日はみずきちゃん部活ないんだっけ」
「あ、はい」
「じゃあ校門前で待ってる」
ふっと笑う彼。
「・・・ありがとうございます、沖田先輩」
火照る顔を見せまいと、俯いた。
そんな私を見て、目を細める先輩。
幸せだった。……この時までは。
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