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…突然だった。
『聞きました?例の…』
『あぁ、確か不良に絡まれてそのまま暴力を受けて亡くなったっていう…』
『どうやら小学生にカツ上げしてた上級生を止めに入って、それで…』
『全身ぼろぼろだったそうじゃない。こわいわぁ』
沖田先輩は、うちの高校の正門から少し行ったところで発見された。
骨は所々折れていて、痣だらけになって。
頭を強く打たれたらしく倒れていたそうで、そのまま病院に運ばれたが、間に合わなかった。
犯人捕まった。
他校の上級生四人組だそうだ。
『殺す気なんてなかった』と供述しているらしい。
――…でもそんなこと、関係なかった。
「・・・私が、早く行っていれば‥」
『じゃあ校門前で待ってる』
先輩のこの言葉が、頭から離れなかった。
何で遠慮しなかったんだろう。
嬉しくて、嬉しくて。
どうしてありがとうと言ってしまったんだろう。
「私の、せい…?」
私が、舞いあがったばっかりに、先輩は…――。
覚束ない足取りで、一歩踏み出した時だった。
「君!危ない!!」
後ろで知らない人の声がした。
鈍い痛みが全身を駆け抜けた。
そこで、意識が途切れた……。
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