一ノ章

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今ここで先輩を探したところで居るはずもない。 それに、先輩はもう…――。 「わ、たし‥失礼します…!」 言うなり踵を返し、なんとかこの場から逃れようと走り出すが、振り返った途端、 先ほど目の前に居た沖田さんが回り込んでいた。 「逃がさないよ」 「ど、どいてください…っ」 今はこんなことをしている場合じゃ…っ。 そんな時だった。 「新選組の沖田だ!!」 「ちっ、何故ここに…!」 横わきから男の声が。 「‥藩士?」 「何だ何だ?」 きょとんとした顔をする沖田さんと藤堂さん。 「あれは、長州の…」 ぽつりと沖田さんがこぼした時だった。 「ここでばれたとなると生かしてはおけん…!」
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