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―――2×××年。荒れ果てた人間界を立て直す為、地上に神の子たちが舞い降りた。
彼らは大地を均し、草木に命を吹き込み、傷付いた者を癒し、そして再び生きる気力を与えた。
人々は彼らに感謝し、「天使」と呼び奉った。
そしてそれ以来、人間と天使の共存が始まった――。
「――おい、あれか?」
ビルの屋上から、怪しげな男二人が双眼鏡で通学中の少女の姿を追う。
一人は片手に少女の写真を持ち、見比べている。
「ああ、間違いない。あれが今回の獲物だ。」
「……だが…自転車乗ってるぞ…?」
「……ιι」
男は怪訝そうな顔をして再び少女の方へと目をやった。
「…とにかく仕事だ。捕まえてから確かめりゃいいことだろ。」
くわえていた煙草の火を消しながら、男は銃を構える。
シ ゴ ト
「“天使狩り”、始めるぞ。」
「~~♪」
一方、少女は学校に向かうべく自転車をこいでいた。
特に珍しくもない光景。
彼女にとってもいつもと何ら変わらないことだった。
「~‥――っ!!」
が、そんな平穏な日常が壊された。
何かが風を切る微かな音と殺気を捕らえ、突然少女が飛び退く。
瞬間、銃弾が足をかすめ、地面にめりこんだ。
「……。」
少女はしばし地面の穴を見つめた後、ある一点をキッとにらみつけた。
「ちっ。やはり外したか。」
「まあそれは予想の範囲内‥「ちょっとおじさん達。」
「「っ!!?」」
男達は突然の背後からの声に驚き、振り向いた。
するとそこには先ほどの少女が立っているではないか。
「いっ、いつの間に…!!?」
「そんなコトより、いきなり何てことしてくれんのよ!自転車のかご歪んじゃったじゃないッ!!」
「くそっ!!」
一人の男が少女に向かって銃を乱射する。
弾は少女に当たる直前に、音をたてて床に落ちた。
少女の前で空気が渦巻いている。
「風使いか…!」
「…しょ、所詮は星なしだ。この程度の力しか使えまい…。」
「へぇ…。」
少女は黒い笑みを浮かべた。
「どの程度使えるかどうか、あんた達自身で確かめさせてやろうじゃないのッ!!」
「「ぎゃああぁぁぁっっ!!!」」
男達の身体に電撃が走る。
そして10数秒後、床に倒れこんだのだった。
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