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「おはよー。」
「あっ、美羽ちゃん!今日は遅かったわね?」
「そうだよ、ギリギリだよー?」
「んー、ちょっといろいろあってさぁ…。」
言葉を濁そうとすると、早くも異変に気づいたものが一人。
「きゃあぁっ!!?」
「「「!!!??(びくぅっ!!)」」」
いきなり悲鳴をあげたその人物、天宮琴音(あまみやことね)。
クラスどころか学校中に響きそうな大声をあげ、生徒達の注目を浴びている事なんか気付きもせずに、両手を自分の頬にあててわなわなと震えている。
「美羽ちゃんの綺麗なお肌に傷がぁあっ!!!!!」
「あ、ほんとだ、ちょっと血出てるじゃん。どこかで擦ったの?」
「えっと…ι」
「まさか“天使狩り”!!?」
その一言で、『またいつものアレか』とそれぞれの日常に戻りかけた生徒達が固まる。
琴音の美羽依存症はいつものこと。
美羽の事とあれば、くしゃみ一つで大騒ぎするほど“美羽LOVE”なのである。
だが、“天使狩り”ともなれば話は別。
何しろ、今となっては地上で見ることが少なくなった天使達がこの学校には何人もいる。
天使と人が共に学ぶ学校、それが『天星学園』なのだ。
そのため、この学校の生徒にとって天使はとても身近な存在。天使を捕まえては闇で取引される“天使狩り”は脅威といえる。
「美羽ちゃん!大丈夫なの!?」
「大丈夫だって、雷1発落として警察置いてきたから…。」
「じゃあやっぱり天使狩りに…!!」
一気に教室中がざわめきだす。
天使狩りを行う輩は必ず大きな組織を組んでいる。
1度狙われたということは、また狩りにこのあたりにくる可能性が非常に高いのだ。
「他に怪我は!!?何もされてない!!?」
「う、うん、すぐ気絶させちゃったから…。」
「とりあえず治療するから動かないでね。」
琴音が手をかざすと、暖かな光が生まれ、美羽の傷を癒していく。
「…ありがと、琴音。」
「美羽ちゃん、今日から私の車で送り迎えしてあげるから…いいえ、一人じゃ危ないわ。私の家から学校通いましょう。」
「え、それはちょっと…ι」
「そうよ、そうと決まったら早速家に電話して美羽ちゃんを迎える支度をさせないと…!」
携帯を取り出し、家に連絡をとるお嬢様、琴音。
美羽の意見など聞かずに話を進めてしまっている。
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