†第1章† prelude ~前奏曲~

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「…ねぇ、琴音…。何もお風呂や寝るときまでついてこなくても…」 ここは琴音の家‥否、屋敷である。 あの後結局琴音に押し切られ、今日は彼女の家に泊まることになったのだ。 「だめよ、いくらうちが安全だって言っても、美羽ちゃんは狙われてるんだから!誰かがそばについてないと!!」 それに、と琴音は付け足した。 「せっかく美羽ちゃんが泊まりに来てくれたんだもの、一緒にいないともったいないじゃないvV」 「………ι」 琴音の瞳がきらきらと輝いているのを見て、美羽は苦笑した。 美羽のこととなるともう誰も彼女を止められないことは、美羽自身もよく知っている。 だが、このままではトイレにまでついてくると言いかねない。 「美羽ちゃんは嫌なの…?」 …捨てられた子犬のような瞳でみつめられて、「嫌」だと言える人間がいるだろうか。 少なくとも美羽は『No』だった。 それに、あまりにべったりなのは困りものではあるが、そこまで自分を好いていてくれるのは正直嬉しい。 「嫌じゃないけど‥さ//」 「よかった!美羽ちゃん大好きvV」 いつものように抱きつく琴音を苦笑しつつなでていると、美羽を抱きしめる腕に力がこもった。「琴音…?」 不審に思った美羽が顔をのぞき込むと、真剣な表情をした琴音と目があった。 「美羽ちゃんは絶対に私が守るから」 美羽は一瞬、驚きを隠せなかった。 いつも柔和な笑顔で微笑んでいる琴音が、こんな表情をすることなんて、滅多にないのだ。 それだけに、彼女がどんなに自分を大切に思ってくれているかが伝わってくる。 暖かい気持ちが、胸の中に流れ込んでくるのを感じた。 「…うん」 思わず笑顔になった美羽に、琴音も嬉しそうに微笑んだ。 「さぁ、もう遅いし、そろそろ寝ましょう」 琴音に促され、ベッドに寝ころぶと、どちらからともなく指が絡まり、また、笑みがこぼれるのだった。
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