*プロローグ‐光と影‐*

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あたし、市川久美は、この市川家に巧と双子で生まれた。 巧の方が15分はやく生まれたから、あたしは妹で、巧が兄。 兄の巧はなんでも出来るのに、妹のあたしはそうはいかない。 足は遅いし、勉強も人並みに出来るだけで、天才的頭脳を持つ巧には敵わない。 ――唯一、巧にかなうものといえば、ピアノが弾けるくらいだ。 でも、たったそれだけ。 巧と一緒にいると、無力な自分を痛感する。 それはすごく嫌なことだから、普段、巧と行動を共にしたりはしない。 あたしも巧も中学受験をしたけど、巧とは頭の出来が違う。 当然志望校も違ったし、今だってあたしは女子校、巧は男子校に通っている。
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