-宣告-

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箱を開けると中にはクッション材が詰(ツ)められていた。 それを退けると、鞘に納められた一降りのナイフ…いや、形状からしてダガーが入っていた。 守は不思議な感覚に陥った。 そこにあるのは明らかに金属製のものなのに、全く重さを感じなかったからだ……。 黒服の男が口を開いた。 「おめでとうございます。『アタリ』です。鞘から抜いてみてください。」 守は箱をテーブルの上に置き、ダガーを手にとってみた。 そして、ゆっくり鞘から引き抜いた。 七色に輝く美しい刀身。 やはり重さは感じない。 「それはミスリル銀のダガーです。羽毛のように軽く、鋼鉄を斬り裂くほど硬い、特殊な金属製です。コンピュータが貴方に適切と判断して選び出した武器です。」 守は蛍光灯の光に照らして眺めた。
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