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「健斗さん」
返事は返ってこない。
慣れた指先でカタカタとキーボードを鳴らす健斗さん。
長い前髪を左に流し、見えている右目は真っ直ぐパソコンの液晶を見つめている。
真っ黒な髪に真っ黒な瞳。
それとは裏腹に透き通った様に白い肌。
引き締まっていて、良い感じに筋肉のついた体。
整った綺麗な顔。
いっそのことモデルでもすれば良いのにといつも思う。
──いいや、駄目だ。健斗さんを人に見られたくない。僕だけが健斗さんを知っていたい。
嗚呼、なんて馬鹿げたエゴ。
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