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季節は春を過ぎたあたりだろうか
この丘の周りに咲いている桜はその鮮やかな桃色を散らし新緑へと移り変わろうとしていた
俺と彼女は高台から木々をじーっと見下ろしていた
風は穏やかに流れ、暖かい日光が俺達の体を包み込んでいる
「今日もいい天気だね」
「ああ、そうだな」
それに俺は答えた
彼女は楽しそうに微笑んだ
「ねぇ崇(スウ)。私ね…」
途中からどんどん声が小さくなり、そして消えた
「聞こえないよ」
そう言っても彼女はその言葉が聞こえてないように口を動かす
「わからないって。何を言ってるんだ?」
「……。ありがとう崇」
そして彼女は-
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