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「失礼します…あ」
礼儀正しく一礼してからこちらに来ようとして俺と目が合う
するとその子は体中が硬直し、目は見開かれ、口はぽかーんと大きく開けられ、まるでこの世にいてはいけない物を見たかのようなリアクションをされた
「おい、美奈(ミナ)。そんなとこで突っ立ってると入れねーんだけど」
美奈と呼ばれた子の後ろから男の声が聞こえた
「まさかまさか、高月(タカツキ)君が目を覚ましてたりして~」
「…」
「美奈ちゃんに無視された…うわあああーん!榊(サカキ)君慰め…むぎゅう」
「黙ってろ。病院だぞ」
「崇!」
ずっと固まっていた美奈が弾けたように駆けだしこちらに飛び込んで抱きついてくる
「ちょ、なんだ!?」
「よかった…本当によかったよ…ぐす…」
彼女は泣いていた
それは喜びか悲しみかと言われれば間違いなく前者だろう
ただ頭に引っ掛かっているのは
「君は誰だ?なんで俺の名前を知ってる?」
「え、何言ってるの?そういう冗談笑えないよ?」
俺の質問は冗談と取られた
と、そこでさっき後ろにいたであろう二人の人物がこちらに来た
「よう。やっと目が覚めやがったか。これでも心配したんだぜ?」
「むぐぐぐ!」
そう言った男の右手には小柄な少女が口を塞がれてじたばたしていた
「ん?ああ悪い忘れてた」
右手を解放すると、ぷはっと息をして少女は少しぐったりしていた
「榊君の鬼畜ー。危うく天に召されそうだったじゃない」
「それは悪かったな。それより高月に挨拶くらいしたらどうだ?」
そこで俺に視線が向けられる
「高月君が生き返ったああああ」
「勝手に殺すなよ」
死んだ人扱いされてた
ちゃんと心臓もばりばり働いてるっつーの
「それより色々聞きたいことがある。お前達は誰だ?」
さっきと同じ質問をし直してみる
『…』
するとまた動きが止まる
これは聞いちゃいけないことなのか?
でも実際わからないしな…
「高月ってそういう冗談言えたんだな」
「いや、だから冗談じゃなくて。本当にわからないんだよ」
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