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「ええええ!ま、まさかっ…記憶喪失ってこと!?」
「お前は学習能力がないのか」
またもや口を塞がれる小柄少女
あれは毎度のことのようだな
見ていてなんだか安心できる光景に感じた。なんでかはわからないけど
「崇、本当にわからないの?私も…榊君や彩(アヤ)ちゃんのことも」
「残念だが俺の知り合いっぽいくらいしか今のところわからないな」
「そんな…」
さっきまで泣いていた彼女はまたその瞳に涙を溜めて今にも零れそうだった
「えっと…ごめん」
反射的に自分の右手が彼女の頭の上に乗せられ優しく撫でた
「あ…」
「ん?…ってなんで俺こんなことしてんだ!?あ、ご、ごめんっ」
慌てて撫でていた右手を引っ込める
どんな関係かも知らない子にこんなことするのは間違いなく悪いことだ
ちゃんと考えて行動しないと…
「ふぅん…」
その時、榊と呼ばれた男は何かを考えるようにその出来事を見ていた
「あのさ!あのさ!高月君が記憶をなくしてるならとりあえず自己紹介から始めない?」
と、必死に背伸びして手をぶんぶん振り回しながら提案してくる小柄な少女
「そうだな…まずはそれがいいかもしれない」
「じゃあ決まりっ!高月君、ちゃんと聞いて覚えてよ?」
「あ、ああ」
少し気圧されながらも頷いておいた
まぁそのほうが状況を把握できるだろうし
そうして自己紹介タイムが始まった
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