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何とか教師陣を二人がかりで説得し、
転校手続きを済ませた。
一方、転入の方は
山科小学校に勤務している太朗の
数少ない友人、宮原浩史のおかげで
大した問題もなく済んだ。
しかし、よく考えてみると
涼子と宮原が由乃の手続きをしたような
図が出来上がる。
「結局、店長は私がいないと社会的行動は何にも出来ないんですね!
今思い出してみたら、ほとんど私のファインプレーしかない気がしてきました」
涼子は少し呆れたように言った。
「...今回は本当にいい勉強になりました」
太朗は返す言葉もなかった。
「全く...こんな店長でも由乃ちゃんにはなぜか、
なぜか信頼されてるんですから
...頑張ってくださいね」
いつもは聞きなれない単語が耳に入ってきて
太朗ははっと顔を上げた。
相変わらず涼子は太朗に背を向けて作業をしている。
しかし、一つにまとめた綺麗な赤みがかった髪から
覗かせた耳は
彼女の髪と同じように赤くなっていた。
「...やる気が続けば」
太朗は気付かなかったふりをした。
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