序.悪始動

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「調子に乗ってんじゃねぇぞ!!このクズが!!」 すると、研究員はカプセルの側面のガラスを蹴っ飛ばす。 革靴を履いていた研究員は痛みが足に伝わり、足を押さえた。 さすがに革靴を履いていても、痛みは感じるようだ。 その瞬間に カプセルが割れた。 思い切りガラスが砕かれ、中の培養液が噴出して部屋の地面を濡らしていく。 ガラスが割れた時に研究員にガラスの破片が刺さった。 「いっ……!!」 研究員は腹に痛みを感じた。 身に付けていた白衣はガラスに裂かれて所々穴が開き、腹は下に着ていた黒いワイシャツを赤く染める。 膝に手を突いて、何とか立つ研究員は視界に予想外の物体が映し出された。 カプセルの中にいた女が割れた部分から外へ出ていた。 「……!!」 研究員は喉が干上がらせた。 女は死んだ魚のような目で周りを見回す。 すると、地面に白い布が落ちているのに気付き、細い棒のような腕を伸ばして布を拾う。 布を体に巻くようにして身を包むと、少女は早歩きでこちらに近付いてくる。
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