序.悪始動

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しかし、拳銃の引き金を引くより速く、少女が先制を取った。 人差し指で研究員の額を押した。 研究員は頭が仰け反った。 しかし、血も傷も何も無い。 「……っ!!ふざけるな!!」 研究員は頭を戻すと、手に握った拳銃を少女の頭に向ける。 そして、引き金を引く。 「……」 「……!?」 何も起こらない。 確かに引き金を引いているはず、研究員は手を戻す。 しかし、そこには自分の変わり果てた手があった。 引き金を引くはずの人差し指だけが黒く染められ、壊死していた。 「……!!な……」 研究員はさらに驚いた。 その黒が人差し指だけでは収まらず、手全体に広がる。 黒が広がり続けると、感覚が無くなる。 全く神経が脳に届かない。 拳銃を握っていた感覚が無くなり、さらには痺れたような感覚が広がり、拳銃が手から滑り落ちる。 カツン、と地面に拳銃がぶつかる音が響いたとたんに少女は呟いた。 「馬鹿だな……アタシは、あなたに作られて、自分の作った物に、殺されるなんてね、大丈夫、もうちょっとで、死ぬから」
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