38人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、拳銃の引き金を引くより速く、少女が先制を取った。
人差し指で研究員の額を押した。
研究員は頭が仰け反った。
しかし、血も傷も何も無い。
「……っ!!ふざけるな!!」
研究員は頭を戻すと、手に握った拳銃を少女の頭に向ける。
そして、引き金を引く。
「……」
「……!?」
何も起こらない。
確かに引き金を引いているはず、研究員は手を戻す。
しかし、そこには自分の変わり果てた手があった。
引き金を引くはずの人差し指だけが黒く染められ、壊死していた。
「……!!な……」
研究員はさらに驚いた。
その黒が人差し指だけでは収まらず、手全体に広がる。
黒が広がり続けると、感覚が無くなる。
全く神経が脳に届かない。
拳銃を握っていた感覚が無くなり、さらには痺れたような感覚が広がり、拳銃が手から滑り落ちる。
カツン、と地面に拳銃がぶつかる音が響いたとたんに少女は呟いた。
「馬鹿だな……アタシは、あなたに作られて、自分の作った物に、殺されるなんてね、大丈夫、もうちょっとで、死ぬから」
最初のコメントを投稿しよう!