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そして会見が終わり、私たちに日常が戻ってきた。
もちろん、今までとは違う日常が。
「ねえ、渚」
「ん?」
「私たち、消えちゃうのかなあ」
帰り道の途中、里沙がぼやっと呟いた一言は、私の心にずしん、と響いた。
「さあ…ヘンだよね、なんかゲームの世界にいる感じ」
「ゲームならさ…勇者が救ってくれるのにね」
勇者…確かに、この世界のどこかにパンドラを倒す人がいるってことは言っていたけど
どこかじゃ、それも本人が気づいてなかったら意味がない
帰りに通る商店街も、今日はなんだかいつもより元気が無かった。
「じゃあね、里沙」
「うん、バイバイ、渚」
交差点で里沙と別れる。
いつもと変わらない普通の景色が、何故か今日だけは、愛おしく感じた。
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