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「……っと、やりすぎたか……?」
ジョウが剣を肩に担ぎながら動かない渚へと近づく。
少し体を前に屈め、少し戸惑った表情で声をかけた。
「おい、え~と……」
「私の名前は渚だ」
「ああ、そうそう、ナギサって――――うおっ!?」
渚がジョウの両足を蹴り飛ばす。
ジョウは体勢を崩しかけたが、なんとか堪える。
そしてジョウが目線を渚のいた方向へと向けると、既にそこには渚はいなかった。
「これでお相子……です」
後ろから少し後ろめたい声とともにジョウの身体に凄まじい衝撃が走る。
ジョウは渚と同じ場所に激突した。
「……は、やるじゃねぇか……!」
やられたにもかかわらず、ジョウはにかっと笑っていた。
「すいませんすいません!ほんっとすいません!」
ペコペコと何度も頭を下げまくる渚の後ろには、ちゃっかりと無数の長銃が待機していた。
「おっと……謝るワリには、やる気満々だな」
「手合わせなら、死ぬことはないでしょう?」
渚がにこりと笑うと、無数の銃口から無数の弾丸が放たれた。
「当たっても痣で済みますからー!」
「いやいや関係ないから!絶対痛いから!」
ジョウが焦った口調で(しかし表情は余裕たっぷり)叫ぶ。
無数の弾丸をかい潜り、渚に向かって鋭い突きを繰り出す。
渚もまた、銃をジョウへと向ける。
まるで映画のワンシーンのようだった。
渚の胸にはジョウの剣が、ジョウの胸には渚の銃が突き付けられている。
「――――やるな」
「――――そちらこそ」
二人の戦いを見守る生徒達がどよめきだした。
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