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騒がしかった教室が一瞬で静まり返る。
ゆっくりと目を開けた。
目の前には倒れた少女――――ではなく、氷の薄い壁のような物がいつの間にかそこに展開していた。
壁は瞬く間に消え、壁の向こうにいた少女がこちらへと近づく。
青い髪が腰まで伸びていて、それが歩く度微かに弾む。
「初めまして、私ロナ・ソルシエールと申します、貴女は確かナギサさん、でしたよね?」
突然銃弾に襲われたにも関わらず、彼女は怒りや驚きの表情を少しも見せずに淡々と自己紹介をした。
「ああ……そう、だけど、大丈夫?」
「特に何もないです」
ロナはそう言うと元の席へと戻った。
緊張がとけたのか、教室が再びざわめきだす
「あの子確か……水を操る子だ」
「水?」
魔法の類……なのかな
アンジェのように武器じゃなくて魔法に力を変えるというのはちょっと聞いたことはあったけど。
「確か学年4位でね、水の魔女~とか呼ばれてるんだって」
「へえ……」
しばらくロナを見つめる。
物静かそうな感じを漂わせる子だが、気弱な感じはしない。
あくまでも素人のカンだけれど。
銃を誤って撃ってしまった子がロナに謝っている。
アンジェはいつの間にか元の姿に戻り、びっくりしたね~と笑いながら席についた。
「ナギサ、あの子凄いね!」
「へ?なにが?」
「だって何もせずに氷の壁出したんだもん!」
心の底から感嘆しているのがよくわかった。
が、意味がよくわからない。
「え、普通じゃない?」
アンジェはぶんぶんと首を振る。
「だって呪文も杖も何も使ってなかったよ?魔法は普通どっちかがいるのに」
「……いつの間にそんなことを」
アンジェは一瞬きょとんとし、なんでもないような顔で
「“前から”知ってたよ?」
と言った。
「前から……?」
伊月さんとも関係があったようだからその時に教えられたのかもしれない……
ちょっと意外では、あったけど。
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