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書庫は名前の通り本だらけの部屋だった。
クラスの番号がかかれたメモが貼られた教科書を持ち上げる。
教科書もそれなりに分厚く、重い。
「落とさないように気をつけてくださいね」
軽々と積み上げられた教科書を持ちながら、先生がやんわりと注意した。
それぞれが教科書を持ち、教室へと戻る。
アンジェも軽々と教科書を持ち、謎の鼻歌を歌いながら歩いていた。
教室に着くと突然教科書を縛っていた紐が解け、教科書が自ら生徒の机の上に向かっていく。
運悪くびゅんびゅん飛んでいた教科書に頭をぶつけた人も何人かいた。
「魔法か……」
……なんかもう慣れてきた気がする。
自分の席に戻り、配られていた教科書をパラパラとめくっていく。
アンジェもパラパラ……ではなく、1ページ1ページをなめるように見ていた。
「ナギサさん」
「はいっ!?」
ぼうっとアンジェを見ていると突然前から声がした。
「あ、ロナさん……」
「お昼、ご一緒してもよろしいですか?」
「あ、はい、いいですよ」
少しだけロナさんが笑ったような気がした。
ロナさんはペコリと礼をすると席に戻りかけたが、最後に
「私のことはロナでいいですよ」
「うえっ!?……あ、じゃあ……また後でね、ロナ」
今度は完全に微笑みを見せてロナさ……ロナは席へと戻っていった。
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