『慟哭の流星』

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全ての教科書に名前を書き込んだあと、先生が簡単な注意事項が明記されたプリントを配った。(といってもプリントが自ら動くんだけど) 一通り先生が読み上げたところで、あ~そうそうと先生が思い出したように 「しばらくは2年生や3年生に突然戦いをふっかけられると思いますがうまく避けるなり戦うなりしてくださいね」 とにっこりと笑いながらそう言った。というか彼は常時微笑んでいる。 「あとはそうですね……いつでも戦えるように心構えというかなんというか、覚悟はしておいてください。それだけです」 「……」 教室の中がつんと張り詰めた空気に満たされる。 「覚悟もないまま敵と戦って、死んだ生徒を山ほど見てきましたからね」 「……先生は悲しかったり、辛くないんですか」 女子がそう尋ねた。 珍しく先生の顔からやわらかな微笑みが消る。 「大事な生徒が目の前で死んで悲しまない教師なんていませんよ」 その瞳の奥に、とてつもなく重い悲しみが宿っていたようにみえた。 誰か、特別な人をなくしてしまったのだろうか あくまで自分の予想だし、そんなこときけないけど。 「さ、それは置いといて午後からはパンドラ学の授業なので、皆さんは授業が始まる前には4階の匣部屋(ハコベヤ)に全員いるように。遅刻したら…わかってますよね?」 ぶるる、と数人(主に男子)が肩を震わせた。 「では午前の授業というか準備は終了です。解散!」 その言葉が終わると同時に、チャイムが教室に響き渡った。
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