『慟哭の流星』

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「特別ってよりまあライバル……かな」 「ライバル、ですか?」 うむ、とジョウが頷き、ご飯をがっつく。 「あくまで俺が勝手にそう思ってるだけだけどな」 「い、いえ、そんな……嬉しいです!!」 しかしもう戦うのはごめんである。ごめんね先輩……。 「じゃあ食後の一服ということでもっかいやろーぜ!!」 ――――自爆してしまった。 「一服じゃないじゃないですかっ!!もうっ!!」 「あーあーあーあー文句言うな、ライバルだろライバル」 ジョウが耳の穴に指を突っ込みながらしれっと私の文句を流す。 「むぐう……!!」 私たちは昼食を終え、先程ジョウと戦った場所に連れて行かれた。 再び私たちを取り巻くようにギャラリーが増えつつある。ロナもその中にいた。 「片腹痛し……」 銃になったアンジェが憂鬱そうにぼやく。が…… 「アンジェそれ微妙に意味違うから、うん確かに横腹痛くなるよね……片腹痛し」 はあ、大体食後の一服ってこういうことじゃないと思うんだけど…… 「じゃあ……いくぞ?」 ジョウはお構いなしに剣を構える。楽しみでたまらない、そんな笑みを浮かべていた。 「――――!!」 ジョウがふらりと横に倒れたかと思うと、黒い影が私に急接近する しかし、突然ジョウの動きが止まる。 「……?」 私が彼を見つめると、彼は少し困った顔をしてうーん、と唸り 「ちょっと失礼」 そういうと私の体をひょいと抱えあげた。 私を抱えると、ジョウはもの凄い速さで走り出した。まるでその場から逃げるように。 その直後、私がいた場所に何かが衝突した。 土煙が辺りを覆う。 「あっぶね~、今の直撃してたら木っ端微塵だったな」 あっぶね~といいつつまったくあっぶね~感じのしない声なんだけど……? ジョウは衝突した“もの”を見据えて、こう言った。 「まさかこんな時に来るなんて思ってもなかった――――いや、お前ならありえるよな、いつだってお構いなしだから」 芝生が豪快に抉られたその中心に、“彼”は立っていた。
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