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「……」
「……」
「はわあ……」
おかしい、さっきからロナがずっとほわほわしている。
この甘ったるいため息も何度目かわからない。
「ねえどーしたの!?」
耐え切れなくなったアンジェがロナにかみつく。
「その……わたくしなんと言っていいか……」
いつもの凜とした感じが全くない。
それどころか顔をほんのり赤らめて、もじもじしている。
「わたくし、あのお方に……きゃっ!!恥ずかしいですわ~!!」
ロナはそう叫びながら走っていった。
「……ねえ、どうしちゃったの?」
「あ~、あれは……まあアンジェにもいつかわかるかもね」
適当にはぐらかすのは私が恥ずかしいからだ。恋をしたことがないわけじゃないけど、疎い。
「ふうん……」
あまり興味のなさそうな表情だった。
「それにしてもあの人はなんだったのかなー、黒い人にあねのかたき~!って言ってた人」
「……それもいつか、わかるかも」
「もうっ!ナギサも同じことしか言わないしっ!どうしちゃったのっ!」
「いや……」
どうしたもこうしたも、である。
私の心に、暗雲が立ち込めていた。
姉の、仇……
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