19人が本棚に入れています
本棚に追加
「――――なんとか着いた~…」
授業開始3分前になんとか匣部屋に到着した。
怪しい廊下を歩いて、怪しい扉を開くといかにも怪しい空間がそこにひろがっていた。
「じゅぎょう、楽しみ!」
隣でアンジェが足をぱたぱたさせていて、その隣ではロナがほわほわしていた。 まだ、だ。
「はわあ……慟哭の流星様ぁ……」
「いや、セトって普通に言えばいいじゃない……」
彼には似合っているような、そんな気がした。まあジョウのとあんまり変わらないような気もするというか、いちいちこういうのはあるのか……?
「2年生2位のセトくんの事ですか?」
優しげな声につられて顔を上げると先生が立っていた。
「知ってるんですか?」
「知ってるもなにも、去年担任でしたからね~、あぁ、犬猿の仲のジョウくんも」
担任、だったということは姉の仇の意味がわかるのだろうか。
「あの、先生――――」
と、その時授業開始のチャイムが鳴り始めた。
先生はあとでね、と言うと素早く教壇へと戻る。
立ち話をしていた人達も席へと戻っていった。
「遅刻は……いませんね、素晴らしい出来です」
先生がパチパチと拍手をした。
「さて授業を始めます、ではノートと教科書の1ページ目を開いて下さい」
一斉にばらりとノートと教科書が開かれる。
最初のページには、ハテナマークがかかれた小さなハコが描かれていた。
「――――さて皆さんも知っているパンドラですが……どんな姿だと思います?」
また一斉にパンドラがどんな姿をしているかを言いはじめた。
「女の人だと思います!」
「うん、確かに神話では女の人ですね」
「ハコ?」
「確かに絵をみるとそうかもしれませんね、でも」
一呼吸置いて
「“わからない”んです、パンドラがどんな姿をしているのかは、誰にもね」
どよめきの波が、先生に押し寄せていた。
最初のコメントを投稿しよう!