『慟哭の流星』

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「――――なんとか着いた~…」 授業開始3分前になんとか匣部屋に到着した。 怪しい廊下を歩いて、怪しい扉を開くといかにも怪しい空間がそこにひろがっていた。 「じゅぎょう、楽しみ!」 隣でアンジェが足をぱたぱたさせていて、その隣ではロナがほわほわしていた。 まだ、だ。 「はわあ……慟哭の流星様ぁ……」 「いや、セトって普通に言えばいいじゃない……」 彼には似合っているような、そんな気がした。まあジョウのとあんまり変わらないような気もするというか、いちいちこういうのはあるのか……? 「2年生2位のセトくんの事ですか?」 優しげな声につられて顔を上げると先生が立っていた。 「知ってるんですか?」 「知ってるもなにも、去年担任でしたからね~、あぁ、犬猿の仲のジョウくんも」 担任、だったということは姉の仇の意味がわかるのだろうか。 「あの、先生――――」 と、その時授業開始のチャイムが鳴り始めた。 先生はあとでね、と言うと素早く教壇へと戻る。 立ち話をしていた人達も席へと戻っていった。 「遅刻は……いませんね、素晴らしい出来です」 先生がパチパチと拍手をした。 「さて授業を始めます、ではノートと教科書の1ページ目を開いて下さい」 一斉にばらりとノートと教科書が開かれる。 最初のページには、ハテナマークがかかれた小さなハコが描かれていた。 「――――さて皆さんも知っているパンドラですが……どんな姿だと思います?」 また一斉にパンドラがどんな姿をしているかを言いはじめた。 「女の人だと思います!」 「うん、確かに神話では女の人ですね」 「ハコ?」 「確かに絵をみるとそうかもしれませんね、でも」 一呼吸置いて 「“わからない”んです、パンドラがどんな姿をしているのかは、誰にもね」 どよめきの波が、先生に押し寄せていた。
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