『慟哭の流星』

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「先生」 いつの間にかほわほわしていたロナがいつもの表情に戻り、手を挙げていた。 「はい、なんでしょう?」 「1000年程前なら絵画や文献などがあるはずですが……それも世界中に影響を及ぼすような存在なら……」 確かに、1000年前なら既に文字もあったし、誰か1人ぐらいパンドラについて何かしら記録しているはずだ。 「鋭いですね……ふふ、そう、実はあるんですよ、絵画も文献もね」 でもね、と先生が続けた。 「肝心のパンドラがどんな姿をしているかが描かれている、または記述されている箇所“だけ”何者かによって塗り潰されていたり破かれていたりしてるんです」 「特定の箇所だけねえ……」 なら残りの手段は―――― 「伝承なんかもありそうなんですけど、それが無いんですよね……」 ダメだった。 「パンドラが何者なのかはわからない……でもパンドラが何者であっても僕達には倒すという道しかありません」 ……個人的にはいかにもゲームのラスボスっぽい凄い大きい怪物だと予想している。 だって災厄撒き散らすっていってたし……ハコがぱかっ、と開いて災厄が飛び散るというのはなんとも、だ。 先生が教科書をぽん、と叩いた。 「そして……この教科書には、君達がまだ知らない恐ろしい真実が載っています」 先生が教壇に置かれた教科書をじっと見つめた。 「先に言っておくと、そうだなあ……心の奥の光をなくした瞬間、闇に飲み込まれますよ、確実にね」 闇に飲み込まれる……? 光がなくなった瞬間、というのは―――― つまり、どういうこと……?
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