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そして放送が始まった。
私を含め生徒達は食べかけのお弁当をしまい、自分の席へと座った。
『ではこれから、政府による緊急会見を放送します。』
画面の中のニュースキャスターが静かにそう言うと、会見会場へと映像が切り替わる
総理と、あと数人今までテレビで見たことがある人と
一人の女性がいた。
艶やかな長い黒髪に、黒いスーツ
政治家じゃない…
『では、伊月さんよろしくお願いします』
伊月さんと呼ばれた黒髪の女性はスッと立ち上がり、黒髪をなびかせ演説台へと向かった
そして立ち止まり、ゆっくりと口を開く
『パンドラ特別対策委員会委員長の伊月 巴(ともえ)です。』
「パンドラ?」
男子の一人が呟く。
『できるだけ落ち着いて聞いてください。』
多分一番落ち着いているのはこの人なんじゃないのかと私は思った。
きっと、そうだと思う
『単刀直入にお話します。この国…いえ、全世界、地球そのものが滅亡の危機にさらされています』
言った通り、ものすごく単刀直入な発言だった。
『滅亡は“パンドラ”と呼ばれる、絶望をそのままかためたような存在がもたらします』
ファンタジーならアリアリすぎる設定だ。
でもそれが現実で起こっている。
『そ、そのパンドラというものはいつ頃現れるのでしょうか!?』
会見会場にいた一人の取材者が女性に質問した。
女性…伊月さんという人は慌てることもなく、ただ冷静に答えた。
『早くて一年、遅くて二年かと思われます』
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