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3…2…1…
ガガガガガガ
耳が痛くなるほど大きくて、うるさい破壊音の中、少年は赤く染まる町を丘の上から見ていた。
ガガガガガガ
炎に包まれた町を見つめているせいか、少年の目は赤く光っているように見える。
「バース様。終わりました」
淡い赤をまとい、現れた女は少年に言った。
「じゃあ、帰ろうか」
少年らしい少し幼さの残る声で、少年は女に言う。
「はい。皆に集合をかけますか?」
女の長い黒髪が風に揺れる。
「そうだね。みんなに話したいこともあるし、集めておいて」
少年はそう言うと、瞳に狂気を写して笑った。
「政府の奴等が動きだすみたいなんだよね……」
狂気を隠すように、少年は自らの肩を抱く。
「壊しあうの、楽しみ」
そう呟くと、少年は町に背を向ける。
「では、後ほど」
女はそう言うと、赤い残光を残して消える。
そのすぐ後に、少年も黒い残光を残して消えた。
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