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「しーちゃん、本当にこれでいいの?うちのマンションに来ていいのに…」
私の病室に来たユリちゃんが父の弁護士から預かった書類を見ながら言った。
「ありがと。でも、もう決めたから。」
私は少し大きな声で返した。
納得なんて言えるほど気持ちの整理は出来てなかったけれど、せめてユリちゃんにだけは心配はかけずに新しい生活を始めたかった。
「そっか。わかった。私もさ、姉さんをずっと裏切ってた柊二さんを許せない…姉さん1人だけが死んじゃうなんてね。けど…一番悔しいのはきっと姉さんだろうし…」
私の母を姉さんと呼ぶ声がとても悔しそうで悲しそうで…
そして、事故の前までは私の父をお義兄さんと呼んでいたのに、柊二さんとあえて名前で呼ぶことがユリちゃんにとって怒りを示すものだったとしばらくして私は気づいた。
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