*過去*

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ユリちゃんが帰ってすぐ4月も終わるというのに、窓の外はサラサラと静かな音が聞こえてきそうな季節外れの粉雪… 胸がちくん、と痛んだような気がした。 それが心の痛みなのか、 体に残った傷の痛みなのか確かめたくて… パジャマの上から左胸を撫でた。 パジャマの上からでも傷を覆うガーゼの感触が現実を私に知らせる… 止むことのない粉雪。 でも、その春に降る雪が、非現実的で…私を現実から少し遠ざけてくれる… その白さが、粉薬のように私の心の奥の痛みと傷の痛みを少しだけ緩和してくれたように思えた。
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