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15分ぐらい歩いただろうか。例の道路に辿り着いた。
右も左も一緒で、ひたすら道が真っ直ぐに、ずうっと延びている。
右の方か左の方か、どっち向かって行こうか迷った。
そこで腕を組んで、視線を上に向ける。
夕方頃なのか、橙色が混じったような赤い空が広がっていた。
その空をボーっと眺める。と、視界の右端に何か見えた。
雲だ。やけにモコモコとした感じで、立体感のある大きな雲の塊だった。
それが人の顔に見えてきた。
見るうちにだんだんと、輪郭がハッキリして見えてくる。
しかめっ面をした老人のような顔だ。
その顔がじっとこっちを見ているような感じがする。
不気味に思えてきた。
だけど、なんだか哀れむような表情をしているようにも見えて、見守ってくれているようにも感じた。
僕は、その気になる雲が浮かんでいる方を目指したくなり、そっちへ向かって再び歩きだした。
歩きながらもまだ、その、人の顔に見える雲を眺めていた。
すると、そのしかめっ面だった顔の表情がなんだか少し、柔くなったように変わっていった気がした。
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