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抽象画のような不思議な看板が立ち並ぶ道を、僕は再び歩きだす。
落ち着いて考えてみたら、異様な光景だと思った。
なにもないところに一本の道路があり、その左右両脇に変な看板だけが遠くまでずらっと立ち並んでいるのだから。
そんな異様な光景を最初は興味もって見ながら進んで行っていたけれど、だんだん慣れていき気にせず尻目に通り過ぎて行くようになった。
そうして、しばらく歩き進んで行ったけれど、僕はまた立ち止まってしまった。
今まで見てきた看板とは明らかに違うものが描かれている絵が、視界の中に入ってきたからだ。
それは風景画だった。
その絵は、赤色の大地と茜色の空が広がっている……
「……」
えっ?これって、まさか……
自分がいる場所じゃないか?
よく見ると絵の赤い大地の真ん中あたりに緑色のものが描かれている。
初めは、草かなにかが描かれていると思った。
だけど近づくにつれ、それがそういうものではなかったと分かった。
そこに描かれていたのは、緑色の服を着た人だった。
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