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あぁ。
私の身体からか・・・?
そうか。
納得しようとしたところに。
図ったように、瓶がぶつかる音がした。
「おいちゃーん。もらうよコレぇ」
「もらうっていうな。払ってけ」
「ツケといてー」
「生意気になりやがって!」
めずらしいな。
おいさんとやりあう男の子、か?
声的に。
私がこの銭湯に通い始めて、もう数十年になる。
結構するマンションで、もちろんバス付きでトイレとは別。
そんな暮らしになっても、金曜日にはここに通い詰めていた。
それが数十年。
私の身体が大人になっていく過程も、おいちゃんには知られている。
なんたって番台をやることもあるからさ。
その私が。
知らない声。
しかもツケられるほど頻繁に通う男?
「おねえさん、となり。
お邪魔しますー」
「あい、どーぞ」
顔にかぶせていたタオルをどけて、チェストに置いたコーヒー牛乳を私の方によせた。
そのとき、割と広いチェストなのに指先が触れて、私は彼の顔を窺う機会に恵まれた。
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