出会い

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今日も、カッコイイなぁ… 私は教室で騒いでいる男子たちを見つめて、溜息を吐いた。 「なに気持ち悪い顔してんの?」 「わっ!」 そんな私の視界に、親友の顔が映る。 「あー…なるほどね」 私の視線の先を辿り、分かったという様に笑った。 「莉緒…」 私の目の前に急に現れた彼女・宮城莉緒(みやぎ りお)は、私の大親友。 保育所の頃から一緒で、お互い知らないことはないと思う。 「愛しの彼のこと、見つめてたんでしょ?」 「…!!べっ別にいいでしょっ」 馬鹿にするような莉緒の台詞に、バレたことが恥ずかしくて強気に返す。 私たちが話題にしているのは、私・藍原結衣(あいはら ゆい)の好きな人。 ーー同じクラスの、須藤汐音(すどう しおん)。 高校の入学式で一目惚れして、今まで半年間。ずっと想い続けてるんだ。 「もう告っちゃえばいいのに」 「それができるんならもっと前にやってるもん!」 告白する勇気がないから、こうやって遠くから眺めてるんだもん。 「誰かに取られても知らないよ?まあ、あいつならそんな心配いらないだろうけど」 「…莉緒ヒドイ」 明るく言い切る莉緒を、横目で睨む。 確かに、汐音くんはそんなにモテるわけじゃない。 クラスで目立つグループの中にいるけど、中心にいるのは別の人。 それなりにカッコよくて、運動もそこそこで、よくいるタイプだから。 でも、私にはそんなの関係ない。 汐音くんの優しさに触れるたび、どんどん好きになっていた。 でも…本心では焦ってるんだ。 誰か、見つけてしまうかもしれないって。 汐音くんの魅力に気づいちゃう人がいるかもしれないって。 その日の放課後、私は先生に言われた雑用を片付けて、カバンを取りに帰るため廊下を歩いていた。 「全く、あの先生人使い荒いんだから」 ブツブツと文句を誰にというわけでもなく言いながら歩いていると、一枚の紙に目が止まった。 いつも使われていない第二音楽室。その教室のドアに、広告の様な紙が貼ってあった。 大きな見出しで、こう書いてある。 「恋愛相談…受付中?」 [告白したいのに勇気がない、大好きなあの人に近づきたい、そんな人は是非ご相談下さい! ー毎日6時まで営業中ー] 携帯を開く。 「5時38分…」 別に、こんな怪しげな広告を信用してるわけじゃない。 ただ、今は、誰かに相談に乗ってほしかったんだ。 私は思い切って、そのドアを開けた。
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