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「……え?
それだけで良いんですか?
今まで来た転生者はみんな無限の魔力とか、最高の魔力質とか、全部の属性とかを欲しがったのに……」
「んなモンいらねぇよ。
生憎と、俺様は他人と同じってのが嫌いでな。
それに……」
「それに?」
「魔法の才能を持ち、努力して強さを持った連中をただの圧倒的な暴力で踏み躙るのは、面白いと思わないか?」
女神の表情が強張る。
まるで、こいつを転生させて大丈夫か?
とでも言いたいようだな。
「おっと、勘違いするなよ?
俺様が踏み躙るのは、自分の力に驕りを持ったり、力を振りかざしたりする連中、簡単に言えば気に食わないことをするような連中だけだ」
女神の表情が和らいだ。
「それでしたら良いです。
では、転生させますね。
あなたが欲した力は、向こうに着いたら与えられています」
俺様の体が足元から消えていく。
「それでは、新たな人生をお楽しみください」
最後に俺様が見た女神の表情は、面倒事が無くなった、という晴れやかな物だった。
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