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桜田先生と保健の先生は唖然とした表情で此方を見ていたので、思わず照れてしまたけれど。
何しろ僕はそのとき小学五年生だったのだ。
友達がいないので一人遊びしかしてこなかった分際で、未だに口笛が吹けないなんて恥ずかしいだろう?
さて、奇妙な話をしようとしていたのにどうしてこうなったんだろうね。
灰色の脳細胞……おっと、失礼。灰色の脳味噌を持つ僕では全く分からないよ、と訂正させてもらおうかな。
脳細胞のほうは主に迷探偵の爆睡オヤジが出てくる漫画に任せてるからね。
分からない?じゃあ、答えだけは教えておこうかな。
灰色の脳細胞、というフレーズには聞き覚えはあるだろうけれど、誰の言葉かは知らない人物が多いらしいからね。
答えはポアロ。エルキュール・ポアロだ。
あの時計に睡眠薬を仕込んで、『謎が解けたぜやっほーい!』という掛け声と共にプシュッと打ちだす男の子。
あの子が今住んでる事務所の名前はポアロというんだ。知ってるかな?
エルキュールというのはヘラクレスのフランス語綴りなのだけれど、日本人な僕としてはヘラクレスっていう響きよりもお酒のリキュールのがそれっぽく思える。
閑話休題としておこう。話が始まらないからね。
さて、この話をするにあたって僕は僕の名前をもう一度だけ話しておこうと思う。
大枝榎。それが僕の名前。
注意する点は一つだけ。大枝はタキと読むのだ。そして同じ読みの多岐とは違うということ。
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