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豪雨。
冷たい雨が、シャワーの様に降り注ぐ。
そんな中、オレは傘の一つも差さずに歩いていた。
オレが何時も羽織っている、ロングコートのポケットに手を突っ込む。
車の通りの少ないスラム街では、道路のど真ん中を歩いても構わない。
道路の脇には、棄てられたゴミが大量に落ちている。
夜中なので、オレは早足で自宅に向かう。
早く帰らないと、また煩いからだ。
折角セットした髪が、雨で崩れていく。
雨には打たれるし、髪は乱れるし……
おかしいな……朝の占いは4位だったのに……
えっ?4位って微妙だって?
いやいや、トップ5に入れば十分だって。
オレは一人頷き、帰路をひたすら歩く。
後5分程度歩けば、自宅に着くだろう。
遠目に見える、ガード下を抜ければ……
「なぁ、お嬢ちゃん
可愛い傘差してんじゃねーか」
なんだ、ナンパか?
残念ながら、赤の他人を助けるほどお人好しじゃ無いんで。
「止めて下さい!」
………………。
残念、赤の他人じゃ無かった。
聞いた事のある声だったな。
ハァ……何してんだよ、アイツは。
メンドクセー。
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