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※※※
「中々の味だったが、あたいはもっと濃い味付けが好きだな」
爪楊枝をくわえながら和人の部屋に戻ったニナが開口一番口にしたのは、料理へのダメ出しだった。
「散々おかわりしといて文句ですか?」
同じ釜の飯を食ったから……と言う訳ではないだろうが、和人もニナの態度に慣れ始めていた。
「文句じゃねぇ、好みを言ってるだけだ」
そう言うニナだったが、満腹のおかげで機嫌は良さそうだ。
そのニナが勢いよくベッドに腰掛けると、ベッドのスプリングにはね返されて身体が浮き上がった。
「おっ、と……」
背中の羽をはばたかして体勢を整えるニナを見て、和人はポツリと呟く。
「ニナ……様って、女神っぽくないね」
その一言に、ニナは肩をすくめる。
「まー……ほんの数ヶ月前まで悪魔やってたからな」
「はい?」
予想外の単語と言えばそうだが、あまりにニナにピッタリな単語に和人は耳を疑う。
そんな和人の方を見ながら、ニナはポンポンとベッドの上を跳ねる。
「だから、あたいは元悪魔なんだよ。これでも営業成績はトップクラスだんだぞ」
自慢気に胸を張るニナに、和人は神妙な顔で何度も頷く。
「確かにそれなら納得……って、悪魔と女神って、そんな簡単に転職出来るもんなのッ!?」
「お、ナイスノリツッコミ」
一人テンパる和人に、ニナは親指を突き付ける。
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