第二章 神様のマニュフェスト

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「まぁ、確かにそんな簡単なモンじゃなかったな」 爪楊枝を咥え直す。 「『天法』も一から覚え直しだったし、身体の中の力を魔力から霊力に変換するのなんか、暴れ出したくなる程イテェんだよ」 自嘲する様に唇の端を上げる。 その苦労は人間である和人には半分……十分の一……千分の一も伝わらなかったけど、ニナの表情を見る限り、それは途方もなく辛い工程だった事は分かった。 「そもそも女神と悪魔って、敵対してるんじゃないの?」 そもそもの疑問をニナに聞いたけど、ニナはため息をついて大袈裟に肩をすくめた。 「そんなん、あたいが生まれるより遥か昔の事だっつーの。天界と魔界の戦争なんて大袈裟に言ってっけど、あんなのただの小競り合いだって」 「そ…そうなんだ……」 宗教家が聞いたら卒倒しそうな話を、ニナは平然とした。 「あたいの生まれた街じゃ、夢とか希望なんていっつも売り切れだったからな。悪魔に成るしかなかったんだよ」 ベッドに手を付き、天井を見上げる様に体重を掛ける。 「ま、悪魔の仕事は嫌いじゃなかったがな」 「ヘヘッ」と笑うニナを見て、和人は初めて恐怖とは違う意味で胸が高鳴った。
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