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※※※
『吉岡和人さんの携帯電話で間違いありませんか?』
いつもの様にベッドの上で自己嫌悪に陥ってる和人のケータイが鳴り、何も考えずに出た和人の耳にそんな声が飛び込んで来た。
「あ、は…はい」
聞いた事無い声だったけど、自分の名前を呼ばれてとっさに返事をしてしまう。
『わたくし、女神派遣所のグリードリッヒと申します。早速で恐縮ですが、只今よりそちらに女神を一人派遣したいと思いますが、お覚悟は宜しいでしょうか?』
「はい? 女神……何ですか?」
口調は丁寧だがあくまで事務的に、あまりに一方的な電話の声に和人が混乱する。
ケータイを耳から離してディスプレイを見ると、そこには『女神派遣所』と表示されている。
(……こんなの設定してないぞ)
ディスプレイの文字を見て、和人は誰かの手の込んだイタズラだろうと思った。
「あ…あの……」
『詳しい話は今から派遣する者に聞いて下さい』
和人の言葉を無視する様に、電話相手はそう告げる。
「いや、だから……」
『それでは吉岡和人さん。お気を付けて』
その言葉を最後に、電話を切られてしまった。
「…………何だ、今の?」
手元のケータイを見下ろし、和人は首を傾げる。
(イタズラにしても意味が分からない。一体何の意味があるのだ?)
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