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夕陽を浴びてキラキラと輝く背中まである金髪。
背中から生えた、汚れやシミどころか陰りさえ見えない翼。
光を織り込んだと錯覚する程神々しい衣。
腕や脚が長く、きめ細かい肌。
世界中の女性が負けを認める均整の取れたプロポーション。
どんな偉大な画家さえ完全には再現出来ない、人知を越えた美しい顔。
だが、
「何ビビったツラ晒してんだ。それでも金玉付いてんのかぁ?」
それら全ての要素を台無しにする口の悪さだった。
背中に降り積もった割れたガラスをパラパラと落としながら、和人は信じられない者を見る目でその女神様……女神を見た。
「な…何ですか……? あんた……!?」
あまりに突拍子の無い登場をしたの目の前の人物が、いわゆる普通の人間ではないのが和人には痛い程分かった。それでも部屋をメチャクチャにされた怒りと驚きを振り絞って文句を言うけど、
「あ~ッ!?」
手にしたて鉄塊を向けられ凄まれると、そんな怒りや驚き等、竜巻の前に置かれたロウソクの火みたいに呆気なく掻き消えてしまう。
「テメェの目はビー玉か何かか? どっからどう見ても可憐な女神様だろうがよ!」
「は…はい! 分かりました!」
和人が両手を高々と上げて完全降伏の姿勢を見せると、『自称可憐な女神様』はようやく満足した様に頷いて手にした鉄塊を下ろす。
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