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「「う、うっまーい」」
「本当、旨いな」
本気でそう思った。卵焼きのしっかりとした味付けと言い、煮物の味といい、全てにおいて完璧だった。けど何故か昔に何度か食べた記憶があった。
「皆の口に合ってよかった」
「口に合うどころか口がとろけるかと思ったよ」
「あぁ、この煮物もうまい。何故か昔に食べたことのある味だな」
俺が笑いながら言うと、七瀬はまた下を向いて黙ってしまった。
「海?どうしたの?」
早紀が話かけると、ハッと我に返ったかの様に、
「な、なんでもないよ」
と答えた。
「てか、真幸食べ過ぎ」
「ふぇ?」
と、なんとも情けない返事をした真幸。もう弁当の大半が無くなっていた。
「ご、ごめん七瀬さん」
「いいの、何なら全部食べてもいいよ」
「本当か?じゃあいただきま~す」
と言いまた食べ始めた。
「すまんな、七瀬」
「いいの、あまりお腹空いてなかったし」
「ならいいんだが…」
「ごちそうさん」
「「早っ」」
俺と七瀬が少し話てる間にもう食べやがった。
「お粗末さまでした」
七瀬はそう丁寧にこたえた。
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