その時は突然に…

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「おはよ」 「あら、今日はやけに早起きね」 「新学期ぐらいちゃんとでねぇとな」 と俺はそれらしい言い訳をしたが、夢を見た。いつか誰との別れかは知らないがあまりいい夢ではないらしい。 俺、高岡 幸人(たかおか ゆきと)は今日ではれて霞浦高校(かすみうら)のⅡ学年になった。 「幸人、朝ご飯は?」 「今日はいい、散歩しながら行くから」 「了解」 俺は散歩が好きだ。新たな発見を探す、昔からの癖だ。昔は誰かと一緒に散歩していたらしい。 「じゃあ、行って来る」 「はい、いってらっしゃい」 母は温かく返事をした。 桜がこれでもかと咲き誇り、春の訪れを告げる。 風が花びらが舞う。 「いい、風だな…」 一人橋から体を乗り出し春の風に当たる。 「本当、いい風ね」 「え…」 橋の柵に少年は立っていた。 制服はうちの物だった 「やっぱりここの風が一番」 「あ、あんたは?」 「Ⅱ学年」 と言うと少女は柵から飛び降りた。 「ッ…」 俺はあわてて顔をそらす。すると少女は少し笑みながら 「えっち」と俺に告げた。 「い、今のは不可抗力だ」 俺はあわてて弁解した。
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