3.リューヴトラの想い

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「ユースィ…ユースィ=ブラックレーベルです…。 ユーとお呼び下さい…あまり長い名前でもありませんからユースィでも構いません」 そう言ってユースィは儚げに微笑んだ。 ドクン。 その顔を見てマルスミアはどきりとした。 『護ってあげたい…』 そう思わせるのに十分な笑顔…。 「リューヴトラ先輩、仕事がないなら私、帰ります。 友人が待っていますので…」 ユースィは哀しげな瞳をリューヴトラに向けて、内側からオートロックの鍵を開けた。 「では、さようなら」 律儀に礼をしてユースィはドアを閉めた。 カチリと音がしてオートロックの鍵が掛かったことが分かる。 リューヴトラはうなだれ、マルスミアは落ち込んでいた。 ユースィはミリアネーズと一緒に帰っていた。 自転車の荷台にユースィは乗り、風を感じていた。 学校がどんどん遠ざかっていく。 ユースィの瞳から一粒、涙がこぼれたのを知るのはこの景色と刻と風ぐらいだろう。 そうして、屋敷に戻る。
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