3.リューヴトラの想い

4/16
前へ
/123ページ
次へ
ボスッ。 ユースィは制服を脱ぎもしないでベッドに飛び込んだ。 天蓋のカーテンをシャッと閉じる。 ユースィは思った。 『いつかリューヴトラを解放してあげないと…』と。 能力さえなければ、リューヴトラを縛らずに済んだのだろうか。 リューヴトラが兎人間でなければ、リューヴトラと主従関係にならなかったのだろうか。 『リューヴトラ…。 兎を意味する名前…』 色々考えていたら何時の間にか眠ってしまったみたいだ。 「お嬢様……いや、ユースィ…」 髪を梳かれる感覚。 その手と声はとても優しい。 「ユースィ…俺は…」 その先を呟かずにリューヴトラはユースィの額にキスを落とした。 そうして手際よく服を脱がされる感覚がした。 抵抗するのも億劫で、リューヴトラが優しかったからユースィは微睡みとの狭間で、全てをリューヴトラに預けた。 ピクッ。 リューヴトラの指がユースィの肌をなぞる。 布の感覚ではない、素手だからこそ安心できる。 ………傷痕……。 痛くはない。 記憶もないような昔の傷だ。 リューヴトラは何を思ったのかユースィの傷痕に舌を這わせた。 「ンッ///」 ピクリと反応するユースィ。 知っている。 今、リューヴトラはとても優しい顔をしていることくらい…。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加