3.リューヴトラの想い

5/16
前へ
/123ページ
次へ
「おはようございます」 「!!」 目を開けると、優しく微笑んでいるリューヴトラの顔が……近い……。 「制服のままお休みでしたので、皺になると思い、脱がせました」 「そ……そう……」 ユースィは困ったように微笑んだ。 ユースィはリューヴトラの哀しげな瞳に気づいた。 視線の先にはユースィの消えない傷痕がある。 「お嬢様……」 それだけ言うとリューヴトラはユースィを抱き締めた。 「すいません」 リューヴトラの肩がらしくもなく震えている。 「……何に対してか…分からないよ」 ユースィは困ったように尋ねる。 「マルスミアの事……、それに今の状況のことです……」 「そんなこと……いいよ、リューヴトラ。 私は気にしていない」 広い屋敷に独りぼっちだったころ。 側にいたのはリューヴトラだけ。 だからなのか、ユースィがリューヴトラに執着するのは……。 リューヴトラもそう。 幼いとき、ユースィと出逢って、ユースィとリューヴトラは離れられない主従関係になった。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加