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「おはようございます」
「!!」
目を開けると、優しく微笑んでいるリューヴトラの顔が……近い……。
「制服のままお休みでしたので、皺になると思い、脱がせました」
「そ……そう……」
ユースィは困ったように微笑んだ。
ユースィはリューヴトラの哀しげな瞳に気づいた。
視線の先にはユースィの消えない傷痕がある。
「お嬢様……」
それだけ言うとリューヴトラはユースィを抱き締めた。
「すいません」
リューヴトラの肩がらしくもなく震えている。
「……何に対してか…分からないよ」
ユースィは困ったように尋ねる。
「マルスミアの事……、それに今の状況のことです……」
「そんなこと……いいよ、リューヴトラ。
私は気にしていない」
広い屋敷に独りぼっちだったころ。
側にいたのはリューヴトラだけ。
だからなのか、ユースィがリューヴトラに執着するのは……。
リューヴトラもそう。
幼いとき、ユースィと出逢って、ユースィとリューヴトラは離れられない主従関係になった。
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