12人が本棚に入れています
本棚に追加
チュンチュン。
可愛らしく小鳥が鳴く。
シャッ。
という音がしてユースィの顔に日が射す。
黒い髪が光に当てられて茶色く見えた。
「お嬢様、朝です」
いつものようにユースィを起こしに来たはずのリューヴトラ、しばし沈黙。
ぽく。
ぽく。
ぽく。
「えええええええ――――――(以下省略)!?」
ひらひらと棚引くカーテン。
昨日閉め忘れたか、暑くなってユースィが開けたのだと思っていたが……。
「花鳥(カチョウ)、風月(フウゲツ)」
リューヴトラは花鳥と風月を呼んだ。
花鳥と風月というのはユースィのお気に入りの双子のメイドさんだ。
昔々、ユースィが人形に命を吹き込んだ。
それが花鳥と風月。
故に彼女達はユースィの魂の一部を共有している。
「お嬢様の居場所は分かりますか?」
ユースィが本体なので花鳥と風月に自らの内側を知らせることを出来なくするのも可能だが、ユースィはどこか抜けている。
だからこそ花鳥と風月は役に立つ可能性がある。
主に誘拐などのとき役に立つ。
「お嬢様は何処に?」
その問いに花鳥と風月はゆっくりと同時に口を開いた。
「「お嬢様は学園におられるようです」」
花鳥と風月は静かにそう答えた。
最初のコメントを投稿しよう!