3.リューヴトラの想い

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と言うわけで、リューヴトラは走っている。 ユースィへのお弁当と朝ご飯を片手に車顔負けのスピードで走っているのだが……。 「あなた、いい走りしてますね。 でも、ユーの方がとってもいい走りをするんですよ」 と、横に並んできた自転車少女(お分かりでしょうがミリアネーズです)がリューヴトラに耳打ち(器用だね)をして走り去っていった。 リューヴトラは所詮は兎だ。 兎はスピードこそ早いが、持続力がない。 兎と亀ではスピードが早いが持続力がない兎とスピードは遅いが持続力がある亀が勝負をして亀が勝ったという単純な物語なのである。 しかも昨日、ユースィにキスして貰っていないから耳は人間のまま…。 そのままではユースィの体に多大なる負担がかかってしまう。 ユースィがこの能力を発動させてから持続出来る時間はもって一週間。 その間、ユースィは力を持って行かれるため、熱がでたり、体に力が入らず倒れたりするのだ。 だから、時間があるときはこまめに能力の発動を止めることが必要なのである。 そのような時間を増やしてユースィの負担を減らそうとして、リューヴトラはユースィを生徒会に入れたのだ。 『それに……機会があれば……』 きっと、チャンスは巡ってくると思う。
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