31人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ…疲れた」
職員室の中では大変だった。
誤解はされるし、俺が怒られるし。この貸しはかなりでかいぞ。覚悟しておけ…宗太
そんなことを考えてたら、歌声が聞こえてきた。
「歌声…どこからだろう」
耳を澄ませてみる。
どうやらこの先の教室のようだ。
覗いてみる
一年生だろうか?上靴が赤い。
ちなみにこの学校は、上靴で学年が分かる。
赤が一年生、青が二年生、黄色が三年生である。
って誰に話しかけてんだ。俺は
「ねぇ、君、そこで何してるの」
「わぁ!」
突然の声に驚いた
「あ、いや、決して覗いてた訳ではなく…」
「じゃあ、何をしてたの」
「えっと、あの、部活…そう、部活見学!」
小さな声で
「…本当に?」
「えっ?」
「本当に部活見学に来てくれたの」
「そうそう」
そう答えた途端に彼女の表情が変わった
「やったぁ!新入部員Getのチャンス!」
イマイチ状況が呑み込めない。
ただ、ここにいたら危険ということは分かった。
「どこにいくの」
気づかれた。
「あ、いや、そろそろ帰ろうかと…」
「もう少し、見ていけばいいじゃない。ね、そうしましょ」
もはや、拒否権など存在しなかった。
「えっ、でも、先輩とか来たら気まずいし…」
「大丈夫だよ。先輩いないから」
「なんだ。いないんだ…って今の文章おかしくなかった」
「先輩がいないのは本当だよ。正確にはいたんだけど、辞めちゃったから」
「なんで先輩辞めちゃったの?」
「つまんないからでしょ。部活なんてそんなもんよ。結局の所、志しの低い連中が集まるのよ」
まるで、何かを憎んだような言い方だ
「とりあえず、歌おうよ。」
その後、何時間も歌わされた。
「今日はありがとうね。」
「いや、別にいいよ」
「いやぁ~、久々に人と歌えて楽しかったよ」
彼女は満足そうな顔をしていた。
「そういえば、君、名前は」
「五十嵐 飛鳥」
「飛鳥っていうんだ…。私の名前はね、水無月 雛(みなづき ひな)っていうんだ。よろしくね」
「あ、あぁよろしく」
最初のコメントを投稿しよう!